「遠くを見よ」心身をリラックスさせるアランの幸福論

抑鬱病の人には、わたしはたった一つしか言うことがない。「遠くを見よ」と。抑鬱病の人は、ほとんどつねに、読みすぎる人である。

しかし、人間の目は、そういう近距離のためにつくられているのではない。広々とした空間のなかで憩うものだ。星や海の水平線をながめていれば、目はすっかりやすらいでくる。

目がやすらいでいれば、頭は自由になり、足どりももっとしっかりしてくる。からだ全体がくつろぎ、内臓までしなやかになる。しかし、けっして意志の力でしなやかになろうと試みてはいけない。

自分の意志を自分のなかにさし向けたのでは、なにもかもがうまくゆかなくなって、ついには自分の息の根をしめるようになる。

自分のことを考えるな。遠くを見よ。

アラン『幸福論』集英社文庫

今日はフランスの哲学者アランの『幸福論』から、うつ病の治し方について書かれた一節を書き写してみました。

こころの調子が悪いとき、間近の小さな出来事にとらわれがちですが、アランは視線を水平線の距離に合わせて「自分のことを考えるな」「遠くを見よ」と言います。

遠くを見つめることで肩の力も抜け、心身の緊張がゆるみ、考え方も柔らかくなってきます。

「遠くを見よ」。心に余裕がないときほど、思い出したい言葉です。

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